11月28日(金)、人間共生学部10周年を記念したシンポジウム「災害研究をリスクコミュニケーションに生かす」が開催されました。このシンポジウムでは、災害をテーマに3つの分野から研究を行う研究者による講演および意見交換を実施しました。登壇者は、災害軽減に向け地震や火山の観測研究を行っている東京大学地震研究所 加藤尚之教授、防災教育の研究を行う新潟地方気象台リスクコミュニケーション推進官 永田俊光博士、災害時の人間の心理的変化について研究を行う本学人間共生学部コミュニケーション学科 大友章司准教授の3名。
加藤教授は地震や火山のメカニズムを解明し、地震発生確率から考える地震予測に関する研究を行っています。どのような地域で、どういった特徴や条件があれば地震が発生するのか、規模はどの程度かを、これまでのデータをもとに今後の予測を行うというものです。こうした研究は、私たちにとって身近な緊急地震速報などに活用されており、災害被害の軽減へ貢献しています。講演では、日本周辺の地震の起こり方から地震の長期予測が可能になり、地域ごとにどのような地震が起きるのか予測により規模がわかる未来になると説明しました。
また大友准教授からは、緊急地震速報による災害発生地域のリスクコミュニケーションの必要性について説明。「お知らせとして認識するだけではなく、速報が鳴ったら自分たちは何かしら行動をしなくてはいけないという意識を持たなくてはいけません。ただ行動しなさいと意識づけするのではなく、行動したらどのような安心につながるのか、専門家と一般市民で一緒に考えていくことがリスクコミュニケーションです」と話しました。
地震などの自然災害は少なくない日本において、めったに起きないことではなく「いつ起きてもおかしくないこと」として一人ひとりの防災意識を高めることが求められています。教育現場では避難訓練がメジャーな防災訓練として行われていますが、実際の災害は時と場所を選ばずにやってきます。「避難訓練だけでは防災訓練とはいえず、どのような状況でも、自分の身を守るリスク回避行動をとれるかどうかが課題となっています」と防災訓練の重要性を語るのは永田博士。これまでの大災害を振り返り、シェイクアウト訓練など子どもだけでなく大人の意識改革も欠かせないとし、真の防災教育の重要性を訴えました。
東京大学地震研究所 加藤尚之教授
人間共生学部コミュニケーション学科 大友章司准教授
新潟地方気象台リスクコミュニケーション推進官 永田俊光博士
兵庫県立大学 環境人間学部 木村玲欧教授を含む4名でのパネルディスカッション
後半に行われたパネルディスカッションでは、一般社団法人 ドローン減災士協会 代表理事かつ兵庫県立大学 環境人間学部 木村玲欧教授がファシリテーターを務め、防災教育では緊急地震速報の発令後すぐに避難行動に移せるかが重要であり、加藤教授ら災害メカニズム研究の発展が、私たちの防災意識を促進するなどと意見を交わしました。分野は違えど災害による被害の軽減という目的は同じであり、それぞれの災害研究が少しでも欠けてしまっては実現できないということが再確認されたシンポジウムとなりました。
今後も、関東学院大学は研究者たちの知見をみなさまへ還元する機会を提供していきます。
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