社会学部創立10周年記念シンポジウムを開催しました

#薬害エイズ #市民社会 #学問

2月1日(日)、社会学部創立10周年記念シンポジウム「歴史と現在をつなぐ~薬害エイズから学ぶ市民社会と学問~」を開催しました。本シンポジウムは、社会学部創立10周年を記念し、社会学部教員が進める科研費研究プロジェクトの成果発信の一環として、NPO法人との協働により実現しました和解から2026年3月で30年を迎える今年、薬害エイズの被害者(当事者)や研究者ら各分野で調査を進めてきた方々をゲストにお招きし、社会にどれだけの影響をおよぼした事件なのか、当時の様子から探りました。

はじめに、事件の概要と和解に至るまでの経緯を、薬害エイズ事件当事者であり特定非営利活動法人 ネットワーク医療と人権の花井 十伍理事長が紹介しました。どのようにして薬害エイズ事件が発生したのか、感染した被害者たちが社会からどのような扱いを受けていたのかについて説明し、社会で起きた問題を社会として教訓にする必要性を訴えました。また、社会学者の追手門学院大学名誉教授 蘭 由岐子氏より、和解後に医師たちへ聞き取り調査を行った経緯について紹介がありました。和解直後に発表した第一次報告書に対し、医師らから痛烈な批判が寄せられ、調査体制の見直しが必要となった背景があったと振り返ります。その後、研究班のメンバーによって病院でのフィールドワークが実施され、当時の「医療の不確実性」への理解を踏まえながら聞き取り調査が進められ、現在も調査が継続されていることを報告しました。

さらに、輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究委員会にて委員長を務めた東京大学名誉教授 養老 孟司氏から、解剖学と人文社会科学との差異や人の情念についての講演がありました。また、同じく輸入血液製剤によるHIV感染問題調査研究委員会にて副委員長を務めた東京大学・国際基督教大学名誉教授 村上 陽一郎氏による感染症の歴史における薬害エイズと医療従事者でない専門家(lay expert:素人としての専門家)の重要性についての講演がありました。その後、花井氏、養老氏、村上氏の三者による全体討論が行われ、HIV感染者やエイズ発症者の末期の状態を手がかりに、身体と言語(ロゴス)の関係をめぐる討論が展開されました。自己とは何かという自己同定の問題について意見を交わし、生と死の捉え方なども触れながら議論を深めました。

本シンポジウムでは、社会問題と市民社会の変容との関係についてあらためて問い直しました。閉幕の挨拶として、社会学部教員で副学長を務める細田聡教授は「薬害問題が過去も現在も私たちの社会を脅かすのは、個人の悪意や怠慢だけでは説明できない事象が重なりやすい社会構造に起因すると考えます。何が起きたかという原因を追究するだけでなく、同じことを繰り返さないためにも、知と社会を繋いでいかなくてはならないと再認識しました」と振り返りました。

今後も、社会学部では過去の経験や最新の知見を「公共の学び」として社会へ展開していきます。

※このシンポジウムは、下記の共催のもと開催されました。
関東学院大学社会学部、関東学院大学人文学会・社会学部会
特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権
日本学術振興会科学研究費補助金「薬害をめぐるコンフリクトと制度化―社会秩序形成過程にみる薬害の社会学」研究班
厚生労働行政推進調査事業費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究「薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築・活用に関する実践的研究」

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