研究報
Research Expectations

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理工学部 研究ガイド2023

Beyond 5G/6G時代のウェアラブルデバイスを表面工学で支える

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INTERVIEW 01 Beyond 5G/6G時代のウェアラブルデバイスを表面工学で支える
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盧 柱亨 NOH JOO-HYONG

理工学部 表面工学コース 教授

大阪大学大学院工学研究科電子情報エネルギー工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。横浜国立大学助手、横河電機(株)、東京大学・ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構を経て関東学院大学に着任。「電気・電子材料工学」などを担当。

フレキシブル基板の上にめっき処理で配線を行う

皆さんはスマートフォンのない世界を想像できるだろうか̶。こうしたモバイル情報端末をはじめ、私たちの身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代が到来し、生活やビジネスは急激に変化している。このIoTを普及させるための表面処理技術の研究開発が活発に行われているという。
「『高速』『大容量』『低遅延』『多数端末との接続』という特長を持つ5G高速モバイルネットワークの普及により、いわゆるビッグデータの有効活用が重要視されています。時代はIoTを超え、すべてのモノがインターネットにつながるIoE(Internet of Everything)の実現に向かっています。AI(人工知能)、自動運転、遠隔医療など、モバイル情報端末の役割はますます重要になるでしょう。ここで注目されるのがウェアラブルデバイスです。私はこうした直接身体に装着するデバイスに用いるフレキシブル基板の上にめっき処理で配線を行う技術を開発しています。自在に曲がる樹脂フィルム材の長所を活かしながら、その上に高速信号伝送が可能な電子回路基板を実現する表面処理技術の研究です」

そう語るのは、表面工学コースの盧柱亨教授だ。専門は電気電子材料工学。これまでも半導体デバイスにさまざまな表面処理を施すことで、新たな機能を持たせる研究に従事してきた。表面・界面の物性を研究する表面工学コースにおいては、珍しいバックグラウンドを持つ。そんな盧教授が新たに挑んでいるのが、樹脂フィルム材料でつくられたフレキシブル基板上に、無電解めっき法を用いた銅薄膜形成によって配線を実現する研究だ。

電子デバイス開発でも役立つ関東学院大学のめっき加工技術

めっきは、半導体製造に重要な工程である

「次世代の高速通信デバイスで用いるフレキシブル基板として注目されるLCP(Liquid Crystal Polymer)やCOP(Cyclo Olefin Polymer)と呼ばれる樹脂フィルムは、耐熱温度が低いという課題がありました。そこで、フラッシュランプ・アニーリング(FLA:Flash Lamp Annealing)法という新たな熱処理法で、樹脂フィルムへの熱ダメージを抑制しながら、基板上と銅薄膜の密着性を高めることに成功しました。

このように、関東学院大学のめっき加工技術は、電子デバイス開発の分野でも役立っているのです」産業利用に向けて、まだまだ課題はあるというが、IoE社会の実現に向け、新たな材料開発の社会的ニーズは高い。盧教授の研究室からBeyond 5G/6G時代のウェアラブルデバイスを支える画期的な技術が生まれようとしている。