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理工学部 研究ガイド

環境問題を解決する研究でSDGsの実現に貢献する

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INTERVIEW 01 環境問題を解決する研究でSDGsの実現に貢献する
shimizu

清水 由巳 YUMI SHIMIZU

理工学部 生命科学コース 教授

奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。千葉大学真菌医学研究センター、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部研究員などを経て、現職。

環境問題を解決する研究でSDGsの実現に貢献する

 関東学院大学は、あらゆる教育・研究活動 の中で「SDGs」を活用している。SDGsとは、 Sustainable Development Goalsを略したもの で、「持続可能な開発目標」と訳される。日本政府 も強力に後押しするこの目標を実現する研究の 一例が生命科学コースにある。清水由巳准教授 の真菌(菌類) の研究だ。
「真菌とは、カビ、酵母、キノコを含む微生物で す。真菌は私たちの生活と深く関係しています。 例えば、酒や味噌などの発酵食品は、麹菌や酵 母菌なしではつくれません。また、真菌が産生す る酵素には、プラスチックを分解するものがあり、 環境問題に貢献できると期待しています」
 後者において、清水教授が注目したのが、ブ ナシメジの菌。ゴムを分解し、その分解物を栄養源 として利用できる菌であることがわかった。そこで 実験では、ブナシメジの菌にゴムを食べさせた試 料を用意し、発現する遺伝子を網羅的に解析。学 内外の研究者と連携し、候補となる約1万種類の 中から、ゴムを分解する候補遺伝子を絞り込んだ。
「酵素の発見は、実験プロセスのひとつで、次の ステップ は、より培養しやすい別の菌にブナシメ ジの遺伝子を導入し、ゴムを分解する酵素をつく らせること。最終的にゴム分解メカニズムを解明 したり、分子生物学的手法を用いて廃ゴムを再利 用する仕組みをつくるのが目標です」

研究室で培養しているブナシメジなどの真菌

微生物の可能性は無限大もっと興味を持ってほしい

 清水教授は、大学院修了まで、酵母菌の研究に没頭してきた。その後、菌株を保存する施設で仕事を得て、何千という微生物の特徴を細かく記録する日々を送る。ここで微生物の面白さにのめり込むうちに、その未知の可能性を社会で生かす道を志すようになった。
 プラスチックによる海洋汚染が深刻化する現在、微生物でプラスチックを分解する技術は、まさにSDGsのテーマに合致するもの。さらに、真菌の研究を保健衛生の面で生かす研究テーマにも積極的に取り組んでいる。
「ワインやコーヒー豆を汚染するカビ毒の研究、世界的に問題視されている感染症のひとつクリプトコッカス症原因菌の研究など、真菌に関する社会的意義のある研究テーマは尽きません。地球上の微生物は、まだまだわからないことが多く、応用できる可能性も無限にあります。身近な微生物にもっと興味を持ってほしいですね」