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「表面プラズモン」の原理解明が光通信インフラの未来を変える!

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INTERVIEW 06 「表面プラズモン」の原理解明が光通信インフラの未来を変える!
ishizaka

石坂 雄平 YUHEI ISHIZAKA

理工学部 電気・電子コース 准教授

北海道大学大学院情報科学研究科メディアネットワーク専博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員を経て、現職。「電磁気学I・II」「電気電子総合演習」などの授業を担当。

光通信インフラの省電力化を実現する新たな技術を開発

 現代人にとって、スマホは欠かせないツールだ。X(旧:Twitter)やLINEのチェックはもちろん、YouTubeなどの動画配信サービスの視聴で使用するシーンも多いだろう。そんなとき、インターネットの通信回線が遅くてイライラした経験はないだろうか?電気・電子コースの石坂雄平准教授は、次世代を支える通信インフラをスムーズにする研究に従事している。
「これからは、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)といって、家電製品や自動車など、すべてのモノがインターネットにつながる時代がやってきます。生活が便利になる一方で、インターネットにおけるトラフィックは年々増加しています。また、通信に使用する電力の増加も問題視されています。そこで、私の研究室では、光通信インフラの大容量化、省電力化を実現する新たな技術を開発しています」
 現在の携帯電話は、基地局から端末までを無線の「電波」がつなぎ、基地局から基地局への通信は、有線の「光ファイバ」が支えている。このエ程で、電気信号を光信号に変換する複雑な処理が行われているという。石坂准教授の研究対象は、この処理を担う電子デバイスに用いる新たな光エレクトロニクス技術だ。
「最近、力を入れているのは、プラズモニクスという技術を用いて、通信用デバイスを省電力化する研究です。プラズモニクスとは、金属ナノ構造などにおける自由電子の集団的振動(プラズモン)と光波を結合させて制御する新しい技術。これを使うと極小空間に高強度の光を集積することができます。これによって、通信用チップを小型化し、冷却に使う電力消費を大幅に削減するのが目的です」

新たな表面プラズモン現象を示す光強度分布のデータ

プラズモニクスの新技術を国際社会へ積極的に発信!

 上記のような自由電子と光波が結合してエネルギーをやりとりしている状態を「表面プラズモンと呼ぶ。石坂准教授は、この分野で新たな表面フラズモン現象を発見し、国際学会で発表した実績を持つ。今後は、表面プラズモン現象のさらなる原理解明を進め、様々な分野での応用を目指している。
「私たちが発見した新たな表面プラズモン現象は、自動運転車に搭載する光センサや医療用バッオセンサとしても応用できると考えています。光をナノレベルで高度に制御する新たな光エレクトロニクス技術を国際社会に向けて積極的に発信していきます」