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理工学部 研究ガイド2022

蓄積した「めっき」技術を継承して産業界の未来を支える人材を育成する

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INTERVIEW 01 蓄積した「めっき」技術を継承して産業界の未来を支える人材を育成する
220111-22

小岩 一郎 ICHIRO KOIWA

理工学部 表面工学コース 教授

早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程応用化学専攻工業物理化学研究修了。(工学博士)。沖電気工業株式会社で研究開発に従事し、2005年より関東学院大学に着任。「ナノテクノロジー」「エレクトロニクス実装工学」「機器分析実験」などの授業を担当。

関東学院大学理工学部は「めっき」のメッカ

素材の上に、別のものを被覆して新たな機能を創出する分野が表面工学。昔のおもちゃや缶詰などに用いた「ブリキ」は鉄をスズで被覆したもの、屋根などに用いた「トタン」は鉄を亜鉛で被覆したものだ。同じ鉄材でも表面を何で被覆するかで機能も用途も変化する。
「めっきとは、素材の表面に銅や亜鉛などの金属被膜を成形させる表面処理方法です。めっき加工は、半導体のプリント配線板などで、幅広く使われており、めっきの技術なしに電子部品は存在しないと言われています。実は関東学院大学は、めっきの技術とかなり深い関係があるんですよ」
そう語るのは、2023年4月開設予定の表面工学コースの小岩一郎教授だ。1884年創設の横浜バプテスト神学校を源流にもつ関東学院大学は、戦後の1946年に関東学院工業専門学校として、現在の横浜・金沢八景キャンパスの一角に移転してくる。ここで学生用の実習工場をつくり、力を注いだのが「めっき加工」だった。
「この実習工場のめっき加工技術は評判を呼び、自動車メーカーなど多くの仕事を任され、後に関東化成工業株式会社として独立します。その後も関東学院大学のめっき加工技術は進化を続け、1962年には、世界で初めてプラスチックめっきの技術を開発。そして、関東化成工業がプラスチックめっきを国内で初めて量産化しました。そんな背景もあり、めっき加工の分野では、関東学院大学の卒業生が数多く活躍しています」

特殊技術でアルミニウムのめっき膜作製に成功

作製しためっき膜を高分解能の透過型電子顕微鏡で分析したイメージ

プラスチックめっきは、他の金属に比べ、軽量で安価という強みがあり、自動車部品などの分野で幅広く普及していった。もちろん、現在も関東学院大学のめっき技術、および表面加工技術の進化は続いている。小岩教授の研究室では、5G以降のプリント配線に必要なめっき技術や水系でない溶媒を用いたアルミニウムめっき膜やその合金膜の研究を行っています。
「表面工学コースでは、めっき加工はもちろん、薄膜工学の幅広い知識・技術を学ぶことができます。薄膜工学は、半導体デバイスなどの電子部品や次世代自動車の部品など、日本の先端技術を支えています。ここで薄膜工学の基礎知識を身につけ、日本の産業界の未来をつくっていく人材を育成していきたいと思っています」