研究報
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関東学院大学_研究ガイド

理工学部 研究ガイド vol.2

「デジタルヘルスケア」の技術で誰もが健康を可視化する時代へ

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INTERVIEW 04 「デジタルヘルスケア」の技術で誰もが健康を可視化する時代へ
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簑 弘幸 HIROYUKI MINO

理工学部 健康科学・テクノロジーコース(2023年4月 設置認可申請中) 教授

早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻修士課程修了。博士(工学)。順天堂大学、東邦大学、米国Case Western Reserve大学、米国Iowa大学、鈴鹿医療科学大学などを経て、現職。「生体データ解析」などの授業を担当。

脳波や心電図などの生体信号を健康管理や疾患の発見に応用する

「Society5.0」という言葉を聞いたことがあるだろうか? これは、内閣府が提唱する近未来像で、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」を指している。
そのなかで、重要なキーワードのひとつが「デジタルヘルスケア」だ。これは、情報通信技術ICTを用いた健康管理技術のこと。健康科学・テクノロジーコースの簑弘幸教授は、生体信号をヘルスケアに応用する研究を幅広く行っている。
「スマートフォンと身体に身につけるバイオセンサーを用いて、脳波や心電図などの生体信号を計測し、これらのデータを人工知能に学習させ、日々の健康管理や疾患の早期発見を行うようなシステムを研究しています。私の専門は、生体信号の特徴抽出処理です。具体的には、脳波による精神神経疾患、心電図による心疾患の検出や経過観察のシステム開発に取り組んできました。生体信号を用いたデジタルヘルスケアがより身近になれば、誰もが自分の身体を“見える化”できます。どうしたら集中できるか、どうしたらより深く眠れるか……そうしたことも生体信号によって理解できるのです」

特殊なヘッドギアを装着し、脳波を測定する。

生体信号処理を認知心理学へ応用する研究にも挑戦したい

生体信号処理の技術を応用して、簑教授は最近、ユニークな研究に取り組んでいる。それが、心電図と脳波を用いたヒューマンエラーの研究だ。これは、心身がどのような状態になったとき、人間はミスをするのか可視化するというもの。実験では、フライトシミュレータを用いて、パイロットが飛行機を操縦している状態をつくり、ミスをしたタイミングの生体信号を分析していく。すると人間は、慣れてきたところで特徴的な脳波や心拍数の状態を示し、ミスが多くなることがわかったという。さらに、バスやトラックの運転手が、眠くなるとどのような生体信号を発するのかを調べ、睡眠導入の兆候をアラートするデバイスの開発なども行っている。
「現在は、脳神経系での情報処理のメカニズムを解明する認知心理学の研究にも力を入れています。また、生体信号処理をメンタル面でのスポーツトレーニングに役立てる研究にも関心があります。健康・スポーツ計測コースのネットワークを活かして、新たな研究に挑みたいですね」