研究報
Research Expectations

関東学院大学_研究ガイド

理工学部 研究ガイド vol.2

未知の材料を見つけ出し電子デバイスを革新する

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INTERVIEW 06 未知の材料を見つけ出し電子デバイスを革新する
shimada

島田 和宏 KAZUHIRO SHIMADA

理工学部 電気・電子コース 教授

早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。2000年関東学院大学着任。「回路理論」「応用回路理論」「電子回路」などの授業を担当。

計算機シミュレーションで物質内の電子状態を調べる

スマートフォンの充電がもっと長持ちしたらいいのに……と思ったことがある人はきっと多いだろう。電力消費の主因は、さまざまな処理を行うCPUなどの装置の動作によるもの。ここで用いる半導体基板の材料を改良すると省エネが実現できる可能性もあるという。計算物性工学研究室の島田和宏教授は、酸化物やシリコンなどさまざまな材料の物性を調べ、新しい電子デバイスの開発につなげるための基礎研究を行っている。
「計算機シミュレーションを用いて、材料の性質を予測しています。原子に関する値をパソコンに入力し、計算を行います。原子数が多い場合は、研究室からインターネット経由でスーパーコンピュータに接続して、複雑なシミュレーションを行っています。私が用いる理論計算は、原子核のまわりに存在する電子の状態に基づいて行います。具体的には、電子を波として扱い、波動方程式を解いていきます。これを用いれば、化学的な実験をしなくても物質の性質がわかるのが特徴で、未知の材料の予測も可能です」

計算機シミュレーションで可視化された酸化インジウムの結晶構造

まだ誰も知らない優れた材料で世界を変えることだってできる

島田教授の主な研究ミッションは、次世代の半導体材料の候補となる新たな物質を探すこと。さらに、すでに半導体材料として使われている窒化ガリウム、炭化シリコンといった物質の性質を詳しく調べ、材料のよりよい状態を追究する目的もある。電気電子工学の世界には、材料の性質を調べて、デバイスの性能を高めるという研究分野も存在するのだ。
「計算機シミュレーションで半導体材料の電子の結晶構造を詳しく調べることで、高耐圧、高温動作、省エネ、動作速度の向上といった状態を実現する方法を探ることも可能です。異なる特性を持つ物質を組み合わせることで、新たな物性を引き出すこともできるのです」
これらの手法を応用して、特定のデバイスに合わせて材料を探索することもある。例えば、電気自動車のモーターを制御する半導体デバイスの材料には、高電圧に耐えられる炭化シリコンが適している。この特性を活かせば、省エネ、さらに小型化が可能になるという具合だ。
「いい材料が見つかれば、革新的なデバイスを開発できます。つまり、材料で世界を変えることも可能なのです。新たな電子デバイスの開発につながるような未知の材料を関東学院大学から世界に発信したいですね」