研究報
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関東学院大学_研究ガイド

理工学部 研究ガイド vol.2

無線通信システムを駆使してオートバイに次世代の安全を!

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INTERVIEW 07 無線通信システムを駆使してオートバイに次世代の安全を!
nagaosa

永長 知孝 TOMOTAKA NAGAOSA

理工学部 情報ネット・メディアコース 准教授

埼玉大学大学院理工学研究科情報数理科学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。三重大学工学部電気電子工学科助手を経て現職。「ワイヤレス・モバイルネットワーク」などの授業を担当。

VR機器を駆使してオートバイのライディングシミュレータを開発

「自動運転システムや安全運転支援の技術が進歩し、自動運転社会の到来が現実味を帯びてきました。しかし、それは四輪車に限られた話で、二輪車つまりオートバイが取り残されている印象を受けます。今後、オートバイの安全運転技術の開発が活発になっていくでしょう」
そう語るのは、情報ネット・メディアコースの永長知孝准教授だ。
専門は無線通信の交通応用。例えば、道路上で隣り合う車両間で互いの位置や速度などの情報を交換して、安全性を高める無線通信システムなどを開発している。
そんな永長准教授が、最近力を入れているのが、「二輪車のライディングシミュレータ」の開発だ。これは、VR(仮想現実)機器を装着して、走行環境をバーチャルで体験できる装置。自動運転社会において、オートバイにどのような安全運転支援システムが必要かを検討するために、VR空間でのリアルな運転体験を研究者たちに提供するのが狙いだ。

大学周辺の道路状況を再現したライディングシミュレータのイメージ

ハンドルやスロットルにセンサを装着しリアルな運転環境を再現

「ライディングシミュレータのVR環境は、VRヘッドセットOculus Riftに対応しているUnityという3Dゲーム制作ソフトを利用して構築しています。Google Mapsをベースに横浜・金沢八景キャンパス周辺の道路状況を再現し、自車両以外の自動車は、信号機の表示に合わせて、自律的に道に沿って走行させています。操作はオートバイ実機のスロットル、ブレーキ、ハンドルにセンサを取り付けて、これらを動かすことで行います。研究室の学生や情報ネット・メディアコースの若手の先生たちにも協力してもらい、高精度でより没入感のあるシミュレータが実現しつつあります」
実際に画面を見ると、信号やガードレール、歩道橋など、実際の風景が忠実に再現されていて驚かされる。特に、従来のライディングシミュレータと異なり、後方を振り返る動作ができる点など独自性も高い。車両間通信により送られてくる周囲車両の情報をライダーの使っているナビゲーション画面上に表示させることも視野に入れており、無線通信システムに3Dゲーム制作やVR技術を融合したこの革新的な研究は、学生たちの注目を集めている。
「研究の目標はあくまでも無線通信システムを用いてオートバイの事故を減らすことです。そのため、ライダーにどのような情報をどのようなタイミングで与えると安全に直結するのかをこのライディングシミュレータを使って明らかにしていきます」