研究報
Research Expectations

2026v2

理工学部 情報学部 研究ガイド2026

人工衛星に搭載したカメラで宇宙から届くX線を分析し、地球や人類の起源に迫る!

2026v2
251125-73[1]

中嶋 大 NAKAJIMA Hiroshi

理工学部 数理・物理コース 教授

京都大学理学研究科物理学・宇宙物理学専攻博士後期課程修了。大阪大学理学研究科助教を経て、現職。「理論電磁気学I・II」「宇宙物理学」などの授業を担当。

X線天文衛星「XRISM」で探る生命誕生の謎

XRISMが撮像した天体「3C397」の画像

人類はどこから来たのか。その謎の深淵に迫るために研究者たちは、ジャングルの奥地や深海の底に狙いを定め、さまざまな調査を行ってきた。そして、数理・物理コースの中嶋大教授が目を向けたのは天空。しかも大気圏のはるか彼方、宇宙の果てから届くX線にその答えを求めた。
2023年9月、X線分光撮像衛星「XRISM」が、JAXAのH-ⅡAロケット47号機によって打ち上げられた。そこに搭載された軟X線撮像装置「Xtend」のCCDカメラを開発したのが中嶋教授だった。
「宇宙からのX線を観測することで、超新星爆発によって誕生した中性子星や高温のガス、重元素などを詳しく調べることができます。これは可視光では観測できません。宇宙から届くX線は、地球の大気が吸収してしまうため、大気圏外からの観測が必須です。そのため、X線撮像装置を衛星と一緒に宇宙に打ち上げる必要があるのです」
さまざまな観測データのなかで、中嶋教授が注目しているのが、鉄やチタンなどの重元素だ。これは地球で暮らす生命体を構成する要素とも一致する。つまり、鉄やチタンが誕生し、宇宙に広がっていくプロセスを知ることは、地球上で生きる私たちの起源を探ることにつながるのだ。
「現在は、『3C 397』と呼ばれる超新星爆発の残骸を対象に、鉄やチタンがどれだけ含まれているかを分析しています。届いたX線のエネルギー量で、どの元素がどれだけ存在するかがわかります。超新星爆発の発生条件を解明できれば、地球や太陽系がどのように誕生したかがわかるかもしれません」

X線撮像衛星「GEO-X」で地球を守る磁気圏の姿を明らかにする

すでに宇宙に到達したXRISMから届くデータを分析しながら、中嶋教授は次のプロジェクトも進めている。それが、2027年に打ち上げを計画している地球磁気圏X線撮像衛星「GEO-X」に搭載するカメラの開発だ。これは、XRISMに搭載したカメラより100倍速いシャッタースピードでX線を撮像でき、観測の妨げとなる可視光を最小限に留められるのが特徴だ。新開発のカメラを用いて、地球の磁気圏をX線でイメージングするのがミッションだという。
「GEO-Xのプロジェクトでは、磁気圏によって地球が太陽の粒子からどのように守られているかを明らかにするのが目標です。研究室の学生と力を合わせて、自分たちの手でつくり上げた観測装置で、宇宙の謎、地球の謎、人類の謎に迫ることができるのがこの研究の醍醐味だと思っています」