研究報
Research Expectations

2026v2

理工学部 情報学部 研究ガイド2026

UV照射を用いためっき加工技術で、最先端デバイスの開発に貢献する

2026v2
251125-28

堀内 義夫 HORIUCHI Yoshio

理工学部 表面工学コース 講師

関東学院大学大学院博士後期課程修了。関東学院大学材料・表面工学研究所研究員を経て現職。博士(工学)。「化学実験[表面工学]」「表面工学入門セミナ」などの授業を担当。

関東学院大学理工学部は「めっき」研究のメッカ

「めっき」とは、素材の表面に銅や亜鉛などの金属被膜を成形させる表面処理技術を指す。めっき加工は、半導体の電子回路の基板などで、幅広く使われており、めっき加工の技術なしに最先端の電子部品は存在しないと言われている。関東学院大学は、いわばこのめっき技術のメッカだ。
「本学の前身である関東学院工業専門学校が戦後の1946年に、現在の横浜・金沢八景キャンパスに学生用の実習工場をつくり、力を注いだのが『めっき加工』でした。この実習工場は評判を呼び、その後、大学発ベンチャー『関東化成工業株式会社』として独立します。1962年には、世界で初めてプラスチックめっきの実用化に成功し、量産化も達成します。そんな背景もあり、現在も関東学院大学は、めっき加工の研究を世界的にリードする拠点なのです」
そう語るのは表面工学コースの堀内義夫講師。自身も関東学院大学大学院工学研究科で、博士課程までめっきの研究を続けてきた。現在は、さまざまな材料の表面にUVを照射し、照射した部分にのみ、髪の毛よりもはるかに細いマイクロメートル単位のめっき加工を施す技術を研究している。これがスマートフォンやパソコンなどに内蔵される電子回路の基板となる。

UV照射によるめっき加工技術で高速・安定した5G通信を実現

UV照射によるめっきパターンのサンプル

「電子回路の基板には、樹脂と銅配線の密着度を高めるために表面を粗化する手法が広く用いられていますが、これでは5Gや6Gといった高速・大容量通信への対応は難しいとされています。表面の粗さにより、電気信号が伝わる過程で損失が生じやすく、高速通信を保ちにくくなるためです。一方、UV照射による微細めっき加工技術は、表面の凹凸を最小限にできるため、高速かつ安定した通信の実現に貢献できる可能性があります」
堀内講師は、5G通信に適している一方でめっき加工が難しいとされてきた液晶ポリマーなどの樹脂材料にめっき加工を施す方法として、UV照射を用いている。薬品等を使わないので製造工程における環境負荷を減らすこともできるという。この技術で、堀内講師は、令和6年度「里見奨学会研究提案表彰」の特別賞を受賞した。
「今後は、5G通信に最適でめっき加工が最難関とされるフッ素系樹脂に、めっきを施す技術を開発することが目標です。そのために、UV照射によってめっきがどのように形成されるのか、解析を進めたいと思います。めっき加工は、スマホの通信や自動運転車に搭載するセンサーなど最先端デバイスを支える技術です。より高度な表面加工を実現し、新たなデバイスの開発に貢献したいと考えています」