研究報
Research Expectations

2026v2

理工学部 情報学部 研究ガイド2026

デジタルコンテンツは、配信と体験の時代へ。「面白い」はどうつくられるのか

2026v2
髙橋 光輝 TAKAHASHI Mitsuteru

情報学部 教授
東北大学より博士(学術)を取得。日本やアメリカの企業でデジタルコンテンツの制作に従事。デジタルハリウッド大学デジタルコミュニケーション学部の学部長・教授を経て、現職。「メディア論」「コンテンツ産業論」などの授業を担当。

デジタルコンテンツと人材育成で
次のコンテンツビジネスを描く

映画やアニメ、ゲームを中心とするコンテンツ産業は、現在約13兆円規模に達し、日本の主要産業の一つとして重要な位置を占めている。日本のコンテンツは、個性的なキャラクターや多様な物語性を強みとして、世界中で高い評価と人気を獲得してきた。
デジタル技術の進展により、いまや誰もがデジタルツールを使って、コンテンツの制作ができる時代になった。しかし、膨大な数のコンテンツが生み出される一方で、実際に多くの人に見られる作品はごく一部に限られている。
「面白い作品をつくることは、クリエイターの役割の根幹です。同時に、その作品をどう売るのかという販売戦略、どの国や地域で展開するのかという海外展開の戦略、どうやって人に知ってもらうのかという宣伝やプロモーションまでを考えるプロデューサーの役割が、これからますます重要になります」
こう語るのは、情報学部の髙橋光輝教授だ。映画やアニメ、ゲームを中心としたコンテンツ産業に約30年携わり、日本やアメリカのメディア企業での制作経験を経て、現在は大学教育・研究の立場からデジタルコンテンツ分野の人材育成に取り組んでいる。
コンテンツ産業においては、企画から制作、収益化までを見据え、産業全体を俯瞰する視点が不可欠だ。しかし日本では、映画やアニメを製作委員会方式でつくることが多く、権利や収益の分配構造が複雑になりやすい。その結果、プロデューサーは企画や制作に専念する一方で、資金調達や流通を含めたビジネス全体を一貫して担う経験を積みにくい構造になっている。
「コンテンツ業界は、現場で経験を積みながら学ぶ文化が根強く、体系的に教えてもらう場はほとんどありません。だからこそ大学の授業で、企画・制作だけでなく、資金調達や流通、ビジネスまでを横断的に学ぶ機会が必要だと考えています」

髙橋教授がこれまでに出版したコンテンツ関連の書籍

次なるビジネスチャンスを生み出す
VR体験型サービス

近年のコンテンツビジネスでは、顧客がどのようなコンテンツに関心を持ち、どのような情報に反応しているのかといった顧客データを活用し、宣伝や販売、そして次の企画へとつなげる視点が重要になっている。髙橋教授が注目するのは、VRやARなどの最新技術を活用し、利用者の行動によって体験そのものが変化する体験型サービスだ。すでにこの分野では、来場者数や滞在時間、行動動線などの利用状況データを活用し、運営や企画の改善につなげようとする動きが見られている。研究室では、産学連携の取り組みとして2026年春に横浜・関内に開業予定の没入型体験施設「ワンダリア横浜SupportedbyUmios」を実証フィールドとすべく、DeNAと連携を模索している。