研究報
Research Expectations

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特集:日々の生活を支えるインフラ

3. 英語教育が不要になる」とは思わない AIを活用しつつ、英語力を身につける授業とは

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INTERVIEW 03 「英語教育が不要になる」とは思わない
AIを活用しつつ、英語力を身につける授業とは
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本沢 彩 MOTOZAWA AYA

建築・環境学部 准教授

学位:博士(文学)
専門分野:英語音声教育

AIの登場で感じた、従来の英語教育とのギャップ

近年、翻訳アプリの精度が飛躍的に向上し、インターネットやSNSで出てきた英語の文章をアプリで日本語に翻訳して読むことは日常的になってきました。こうした技術は「機械翻訳」と呼ばれ、その裏側でAIが活用されています。

では、機械翻訳が進化する中で、英語教育はどのようにその技術を取り入れていけばよいのでしょうか。この観点で研究を進めているのが、建築・環境学部で共通科目の英語を担当する本沢彩准教授です。

研究を始めたきっかけは、AIによる翻訳を日常的に使うようになり、これまでの英語教育との間に「ギャップが生じている」と感じたことでした。「機械翻訳を活用するのが当たり前になる中で、授業でまったく使わないのは不自然だと考えました。そこで機械翻訳の使い方を適切に伝え、なおかつ学生の英語力を伸ばす授業とはどのようなものかを検討しようと思い、研究に着手しました」

英文の書き方を学ぶ「ライティング」においては、授業でAIを活用するケースも増え、そのための教科書も出ているとのこと。一方、英文の読み方を学ぶ「リーディング」は、ライティングに比べると、まだどのように授業で活用すればよいかを模索している状態でした。そこで本沢は、リーディングにおける
機械翻訳の活用方法を考えるため、研究を進めてきました。

学生が「自分で考えなくなるのでは」という不安

これまでもリーディングにおける機械翻訳の研究はあったものの、その内容は「学生が機械翻訳を使ったことがあるか」「実際にどんなアプリを使っているか」などをアンケート調査で聞くものが中心でした。「しかしそれでは、具体的にどう使っているかが見えません」。そこで本沢の研究では、学生が機械翻訳を活用してリーディングの問題を解く様子を録画し、どのような時に、何がわからなくて、どういったことを調べたくて機械翻訳を活用しているのか、一人ずつ観察していきました。

「さらには観察後の学生にインタビューし、『あの時どのようなことを調べたくて機械翻訳を使ったのか』『何がわからなかったのか』などを聞いていきました。学生が機械翻訳を使用した意図や思考プロセスを、具体的かつ詳細に分析していったのです」

これにより分かったこととして、「学生は思った以上に、自分できちんと考えて機械翻訳を使っていました」と本沢は話します。

「機械翻訳を使えば、一瞬で答えを出すことができます。そこで懸念していたのは、この技術を授業で活用した場合、学生が自分で考えることをせず、機械翻訳が出した答えをそのまま信じてしまうことでした。しかし今回の研究で使い方を分析すると、多くの学生は、まず自力で意味を推測したり確認したりしながら機械翻訳を用いていました。また、翻訳結果に違和感があればもう一度検証するなど、学生が“自分で考える”様子が見られました」

「授業でAIを使わない方がいい」という意見に対しては?

こうした研究を通して、本沢は英語教育×AIの適切な関係を探っています。学生が英語力をつけるためには「AIを授業に取り入れない方がいいのでは」という意見もありますが、本沢の考えは異なります。

「TOEICや留学対策などの特別な授業を除けば、大学の一般教養レベルの英語教育でAIを使わない選択肢はないと思っています。なぜなら大学の一般教養の英語教育は、学生の英語力を高めるだけでなく、専門科目での学びも支えるからです。つまり、日常生活だけでなく、専門性を高め、卒業後のキャリアを築く上で役立つ英語力を身につけるのが目的。これほどAIが普及する中で、それを使わない授業を行っても、今後の実生活につながらない、現実世界と切り離されたものになってしまいます」

一方で、AIがあれば「英語教育は不要になるのでは?」という声が出ているのも事実。しかし本沢は、この考えにも異を唱えます。「AIを使えば単語や文章全体の意味はわかりますが、なぜこの単語を組み合わせるとこの意味になるのかという“文構造”を理解しないと、英語を使う力は十分につきません。そしてこの文構造は、人が教える領域です」。

本沢が理想とする英語教育とは、学生がAIを活用しながら、それぞれの英語力を身につけていく形。その理想を目指して、英語教育のあり方を探求していきます。

※本記事は2026年7月に作成したものです。